令和5年分確定申告の変更点について確認しておきましょう!
1.国外居住親族に対する扶養控除の適用条件変更
令和4年分までは扶養親族が国外に居住している場合、「親族関係書類」及び「送金関係書類」の添付をすることで、扶養控除や配偶者控除の対象とすることができました。令和5年からは扶養控除の要件が厳しくなり、30歳~69歳までの国外居住親族については、扶養控除の対象から外されます。ただし30歳~69歳までの親族であっても①留学生、②障害者、③年38万円以上の生活費等の送金を受けている者、のいずれかに該当する場合は扶養控除の対象となります。国外居住親族がいずれに該当するかを明確にする欄(確定申告書の第2表『配偶者や親族に関する事項(⑳~㉓)』)が新たに設けられました。
2.特定非常災害に関連する損失の繰越控除期間の延長
特定非常災害に関する損失(純損失及び雑損失)の繰越控除期間が3年から5年に延長になりました。この改正は令和5年4月1日以降に発生する特定非常災害に適用されます。※特定非常災害とは政府によって指定された非常災害で阪神淡路大震災や東日本大震災などが該当します。
3.財産債務調書制度及び国外財産調書制度の改正
所得税の確定申告を提出する方又は一定の所得税の還付申告書を提出することができる方で①その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える②その年の12月31日時点で合計価額が3億円以上、または合計価額が1億円以上の有価証券等を所有するに該当する方は財産債務調書・国外財産調書の提出がありましたが、令和5年分以後に関しては上記①・②に加えてその年の12月31日においてその価額の合計額が10億円以上の財産を有する居住者の方も対象になりました。
4.住民税の申告不要制度が変わる!所得税と異なる課税方式の選択廃止
令和4年度税制改正で、上場株式等の配当所得等について、所得税と住民税の課税方式を一致させる改正が行われました。所得税で総合課税、住民税で申告不要制度を選択するなどの方法が可能でした。しかし、令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなります。
5.消費税のインボイス制度の影響が所得税に
令和5年10月から消費税のインボイス制度が開始されました。インボイス制度は消費税の問題ですが、個人事業主が確定申告に添付することとなっている「収支内訳書」や「青色申告決算書」の記載方法に変更があります。
確定申告の期限は2月16日から3月15日となっております。
期限に余裕をもって申告できるようにしていきましょう。