ひげ所長のひとりごとArchives

2026年10月 October

「幸せな気分になってもらえて嬉しいです」
これは毎朝のようにヒルトンの地下街で出会う清掃員の彼の言葉。彼(名前は知りません)は若く見えるけれど、40代半ばらしい。それまで挨拶くらいはしていましたが、言葉を交わすようになったのは今から3年前の秋からです。私が脊柱管狭窄症から歩行困難になり、杖を使って通勤していた時のことです。その姿を見た彼は驚いて声をかけてくれました。
「どうしたんですか?」彼はエレベーターホールへ走っていき、エレベーターのボタンを押して私を待っていてくれました。私が少し遅れて到着すると、ちょうどドアが開き「今日は素晴らしい一日になります!」それからというもの私の姿を見つけるやいなや駆け出してくれます。もちろんエレベーターのタイミングが合わない日もありますが、その時はとても悔しい顔をします。足が回復した今でも「大丈夫だから、ありがとう」と声をかけないと走り出そうとしてくれます。
「幸せな気分になってもらいたいんです」それが彼の口癖です。日々接する人たちに対して、こういった気持ちを持つことはとても難しいけれど、暑い中、外からみえたお客様のために部屋を冷やしておくとか、あとから続いてくる人のためにドアを開けておいてあげるとか、ちょっとしたことだけどそれだって「幸せな気分になってもらえる」行動ですよね。SGAのスタッフにもそういう気持ちを常に持っていてもらいたいし、皆がそうであれば地球から争いもなくなるのになあと、ふと考えてしまいます。
話は変わりますが、今月号の記事にもありますように先日歌舞伎を観に出掛けました。私自身2度目です。1度目は海老蔵さんが大怪我をした後の再起の舞台だったと思います。昨年末に映画「国宝」を観たものの、そういえばあれ以来歌舞伎を観ていないなあと思っていた矢先でした。
当日は名門・高麗屋から松本幸四郎・染五郎。名門・播磨屋からは中村歌六が出演していました。歌六さんは人間国宝で朝日新聞朝刊「語る・人生の贈りもの」に近頃連載されていました。それを読んでいたせいか、やはりひと味違うなと(笑)。一方、映画「国宝」のバイアスがかかっているのか、幸四郎さん・染五郎さんはどちらかというと血筋かなと(苦笑)。
血筋(家柄)か実力かという話は、周りを見渡せばいくらでもあるわけで、例えば政治家や企業経営者などはその最たるもの。なかには血筋も実力も兼ね備えている人もいますが、それ�はほとんど稀。大河ドラマ「豊臣兄弟」に出てくる織田信長の子の信雄・信孝兄弟みたいなパターンが一般的じゃないかな(笑)。そう考えると歌舞伎の世界は物心がつくかつかないかぐらいからは芸のイロハを仕込まれていくので唯一無二の、特別な世界かもしれませんね。私自身そういう世界に生まれてこなくてよかったとホッとしていますが、皆さんはいかがですか?

2026年9月 September

行って参りました、夏恒例の兄妹弟旅行。
23年は京都、24年金沢、25年高知・松山と続いて今年は青森。毎回そうですが、行先も含め弟にすべてお任せです(笑)。
青森空港から太宰治記念館「斜陽館」を経て、人気パワースポットの高山稲荷神社へ。ここは五穀豊穣・商売繁盛の神様として大変ご利益のある神社だそうです。拝殿までは96段の階段がありますが、私は一息でクリア。2年前の金沢・兼六園では2人が散策する様子を公園入口の石の長椅子に座って眺めていたのがまるでうそのようです。この神社には「映え」で人気の千本鳥居があり、実際には何本あるかわかりませんが、高さ2mの朱色の鳥居が延々と連なっている様は圧巻です。雪景色の中で見たら、一層の風情でしょうね。
この神社の近くには「鶴の舞橋」といって、日本一長い木造の三連太鼓橋があります。「長い木の橋」=「長生きの橋」長寿のパワースポットです。とは言っても、ほぼスルーして(笑)一路、今回のメイン「黄金崎不老ふ死温泉」へ。この温泉は世界自然遺産・白神山地の麓にあり、日本海に沈む夕日を一望できる黄金崎に建つ一軒宿です。ここの海岸と一体化した露天風呂は、温泉ファンには垂涎の的だそうです。当日は「日本夕日百景」にも選ばれた絶好の夕日日和!そのため夕日を眺めながら浸かろうと、露天風呂は日帰り客も多く大混雑でしたので、翌朝再度チャレンジすることに。朝6時前、さすがにほとんど入湯客はいませんでした。「混浴」と「女性風呂」に分かれていたので当然「混浴」に。源泉かけ流しの海辺の露天風呂は別名「熱の湯」ともいわれる赤褐色。混浴は意識していなかったので、先客の年配のご夫婦に一瞬戸惑ってしまいましたが、めいめい湯浴み着を着ているので安心!夕日がなくても、このお風呂はまるで海に浸っているようで開放感抜群。日頃の疲れを癒すことができました。
ところが部屋に戻ろうと浴衣に着替えていると、50歳前後で多少美しめの(弟いわく)女性が入ってきました。そうだった、ここは混浴。その女性、私達の近くでおもむろに浴衣を脱ぐと、なんと着ているはずの湯浴み着はなく…。びっくりして目のやり場に困っている私と弟の前を、涼しい顔で通り過ぎて行きました。これが混浴の醍醐味か…(苦笑)。でも浴場に残っていた数名の男性陣は困惑しただろうな。2日目は青池や十和田湖・奥入瀬渓流などを巡ったあと、浅虫温泉に泊まって旅を終えました。
この旅行を通して感じたことは、青森の街が死にかけているということです。浅虫温泉の旅館の周りの土産店などは潰れたのか、ことごとく店を閉めていました。レンタカーで通る幹線道路沿いは廃屋が多く、また小規模な道の駅以外これといった飲食店もなく、昼食場所を探すのに難儀しました。田んぼには稲がたわわに実っていましたが、これじゃこれから先農業を続けていく若者はいなくなるんだろうな。大都市に人や企業が集中し、税収もそこに偏っています。返礼品頼みのふるさと納税とかでお茶を濁すのではなく、抜本的な改革によって地方にも金を回していかないと本当に手遅れになっていってしまう。「不老ふ死」の湯に浸かれても、地方の街まで「不死」とはいかない…。そう感じさせられた青森の旅でした。

2026年8月 August

皆さん、日経新聞は読んでおられると思います。
経済人にとって日経一面の記事は重要ですが、私は最終面から読み始めます。「私の履歴書」、交遊抄、連載小説は毎朝必ず読んでいます。「私の履歴書」は政治や経済、スポーツ等の領域で大きな実績を残した人物が自身の半生を1か月にわたって綴っています。読み物として政治家やスポーツ選手もいいですが、やはり経済人。とりわけ波乱万丈な人生を送ってこられた方ほど、興味深く読ませてもらっています。とは言っても、今年3月に掲載された村木厚子さん(元厚生労働省事務次官)の検察官とのやり取りや拘置所での日々の描写は非常に生々しく、結末は分かっているのに思わずハラハラしました。
前置きが長くなりましたが、今年6月はSGAクライアントの大河原毅さんが登場なさいました。氏は日本ケンタッキー・フライド・チキン元社長で、現在は㈱デルソーレのCEOを務めておられます。私と大河原さんとの出会いは20数年前のゴルフ場でした。たまたま私たち夫婦と氏ご夫婦とのラウンドになりました。昼休憩で話がはずみ、プレイ後にもお茶をご一緒に。ケンタッキーの元社長とはその時お聞きしましたが、偉ぶることもなくお二人ともとてもざっくばらんにお話なさる方でした。
その後何度かゴルフをご一緒させていただきましたが、当時大河原さんがフランチャイズ展開をスタートしたばかりの「夢ある街のたい焼き屋さん」を、ひょんなことから私自身始めることになりました(笑)。お年寄りが孫の手を引いて、ぶらりと立ち寄れる下町にあるようなたい焼き屋さんがコンセプト。店内で小豆から炊き上げるこだわりの餡子、そして当時珍しかったお好み焼きたい焼きに興味をそそられ、2006年5月に私が住んでいる武蔵小金井の農工大通りに1号店をオープン。2年後には阿佐ヶ谷に2号店。なんと1号店の店長は妻のちどり!私も助っ人要員として戸越銀座にあった店舗でたい焼き作りの研修を受けましたよ(笑)。ただ当然のことながら夏場の売上が厳しい上、やっと慣れてきた秋から入ったアルバイトさんを翌夏前にリリースせざるを得ないなど、数年で継続を断念しました。客商売の難しさやオペレーションの苦労が実体験でき、決して高くはない授業料だったと考えています。
その後大河原さんにはSGAのクライアントになっていただき、長い月日が流れました。「私の履歴書」に書かれていた幼い頃の苦労話は多少なりともお聞きしていましたが、あれほどまでにご苦労なさったとは知りませんでした。掲載されてすぐにご連絡を差し上げたところ「自分のできの悪さがバレちゃって、とても恥ずかしい」とおっしゃっていましたが、なんのなんの…。いつまでも現役でご活躍いただきたいと願っております。
縁は異なもの味なものと言いますが、たまたまゴルフをご一緒したご縁でここまでの物語が生まれました。以前から私自身、人にしろ、仕事にしろ、物にしろ、縁を大切にしてきました。これからもずっと大切にしてまいります。

2026年7月 July

先月6日、チッチが旅立ちました。
本当に突然のことでした。彼女がお気に入りのTVの裏から出てこないので、ちょっかいをかけに行ったところ息が途絶えていました。チッチ11歳、真っ白なメス猫です。
隣家の方が、野良が生んだ赤ちゃんを妻が猫好きだからと庭先で捕まえてご親切に持ってきて下さいました(苦笑)。そんなことで我が家には猫2匹、犬が一匹いました。チッチの姉のアナ(真っ白なメス猫12歳、これもお隣から)とラヴ(ミニチュアシュナウザー黒色メス10歳)。アナは神経質でやせ型。ラヴは子供の頃から体が小さく、病弱。最近、白内障等で両眼が失明してしまいました。一方チッチは性格はおっとりで人懐っこく食いしん坊で小太り。我が家で一番の人気者でした。
2匹の前に飼っていた猫のグレは18歳まで生きたので、当然少なくともそれぐらいまではと思っていました。突然死。心臓麻痺でしょうか。犬より猫のほうがありがちだそうです。動物病院の常連さんである他の2匹のようであれば心の準備はできたでしょうが、チッチはただの一度も病気らしい病気は。尚更驚いています。こういう別れ方ってあるんだな…。きっと人間同士でも。
私達は当たり前のように日々の生活を送っています。けれども自分自身で生命のコントロールができない以上(自死は論外)、こうして日々を送れていることが当然のことではないことに改めて思い知らされました。我々にできることは、自身の身体を労わりつつ、一分一秒を無駄にしないことです。皆さん、健康には気をつけましょうね。
ところで、人は犬派と猫派に分かれるといいます。皆さんはどちらですか?私は断然犬派で妻はもちろん猫派。なぜ分かれるのか?人は自分の性格に似ている方に親しみを感じるそうです。犬の性格は協調性があり活動的で従順。犬の源流は狼なので、群れで狩りを行ったり、共同で生活もしていたので群れのボスには絶対服従。家庭で飼われている犬は、犬なりに家族に序列をつけているみたいですよ(笑)。一方猫は、ネズミを捕ったりも基本単独行動なので自由気まま(よく言えばマイペース)で餌が欲しい時とか必要な時に甘えるといわれています。
私は今まで人を採用する時には、人物判断の一助になるかもと血液型を尋ねたりしていましたが大した参考にもならず(苦笑)。これからは犬派か猫派かを尋ねることにします(個人情報にはならないでしょうから…(笑))。皆さんも是非参考になさって下さい!

2026年6月 June

先月2日「やがて、伝説と呼ばれる日」観に行きましたよ!
場所は東京ドーム。井上尚弥 と中谷潤人のボクシング世界タイトルマッチ。随分と話題になりましたので興味をお持ちでない方でも、この試合のことはご存知だったと思います。かたや世界スーパーバンタム級統一王者、こなた世界三階級制覇王者。両者ともに32戦32勝無敗。KO必至のハードパンチャー同志、ボクシングファン垂涎の組合せです。
私自身、世界タイトルマッチとりわけ井上と中谷の試合は観戦してきました。もちろんテレビですが。とはいっても近頃ペイビューなので一苦労です(手続きがとっても面倒)。この二人が対戦するとなれば生で観たくなるじゃないですか。ボクシングジム関係者のO氏にお願いして5万5千円の席を確保してもらいました。高い?最も高い席は33万円です(!)。私は内野席でしたが前の方を取ってもらえました。
試合は井上尚弥が3-0で判定勝ちを収めました。10Rに偶然のバッティングで中谷の左まぶたが切れ、かなりの出血がありました。これがなければ結果は変わっていたかも知れません。そのことを全く言い訳にしない中谷は素晴らしい。KOシーンは観られなかったものの緊張感溢れるとても素晴らしい試合でした。お互いが相手のパンチを見切って寸前のところでかわし「お前、やるな!」とばかりに、ニヤリとするシーンが何度かありました。この試合ではそもそも選手の入場シーンから驚かされました。生オーケストラの入場曲演奏に続いて、会場が真っ赤な照明と炎に包まれると布袋寅泰のエレキの演奏で井上が登場。この臨場感はテレビでは味わえないな。充分に元は取れたと思いました(笑)。
しかし難点もいくつかありました。男性トイレの混み具合が半端ないこと(30分は待つ)。野球と違ってボクシングの試合はいつノックアウトで決着がつくか分からないので、トイレのタイミングが限られているから?結局、飲まず食わずでした(苦笑)。さらに当日は全7試合、ファイナルの試合が始まったのが22時と遅くて帰りが午前様になってしまったこと。もし将来、東京ドームでのタイトルマッチを観に行かれる機会がありましたら気を付けてくださいね。
我々の日々の仕事においてもここまでとは言わないまでも緊迫シーンがあります。そうです、税務調査の立会の場面と後日の税務調査官との折衝の場面です。特に現況調査(突然会社や店に調査が入る)時の調査官とのやり取りは緊張が走ります。戦績は無敗というわけにはいかないでしょうが、調査官に「SGAは手強いなぁ」と言わせられるよう日々理論武装に励んでまいります。

2026年5月 May

先月10日池袋にあるホテルメトロポリタンにて、クライアント先であるA社の第36期経営計画発表会に出席いたしました。
二部構成で、第一部が経営計画発表会でした。会場には黒服に身を包んだ約150名の全社員参加のもと、式次第に則り粛々(・・)と進められました。社是社訓の唱和に始まり、開会宣言・表彰式・経営計画発表・幹部決意表明と続き閉会宣言まで。内容もさることながら、まさにその言葉通りでした。
唱和や宣言の場面では、代表の社員が声を張り上げ、高校野球における選手宣誓のよう。また拍手する場面では両手を顔の高さに掲げ全員一斉に激しく。そしてピタリと止む。一糸乱れぬ様は、まるで某国の式典を彷彿とさせるほどでした。社長が経営計画を発表する場面では、自席から檀上まで姿勢を正し、曲がり角を不器用に直角に進むさまは、普段の社長を存じ上げているだけに思わず笑みが…(失礼!)。一部が終了して社長に「このまとまりは素晴らしいですね」と声を掛けたところ「朝から練習しましたから」とこともなげに。
SGAでも毎年12月に「望年会」を開催しています。私自身、堅苦しいのは苦手ですが、お客様をお招きする以上はみっともないのも嫌。時間の許す限りの準備はしますが、A社の発表会には遠く及びません。仮に時間がとれたとしても同じようにすれば何人かは退職していくだろうなと率直に感じました。
あれやこれや思いを巡らしながら二部の会場へ。立食のビュッフェ形式でしたが、経理部の女性がしっかりアテンドしてくださり、不自由なく美味しい料理をいただきました。ステージでは社員の皆さんによるお笑いパフォーマンスが繰り広げられ、第一部とうって変わり会場全体が熱気と笑い声で溢れかえりました。
オンとオフ。この第二部があるから第一部が成り立つのだとこの時初めて納得ができました。仕事のオン・オフとかよく使いますが、実際のところメリハリをつけることはなかなか難しいですね。仕事と休憩とか、支出と節約とかになると微妙です。ファッションの世界はアンチメリハリが顕著で室内着か外出着か分からないものが流行しています(笑)。以前、税務調査の立ち合いでアパレル会社に伺った折、調査官の前に社長がTシャツジーパンで出てこられた時にはさすがに慌てました。そんな風潮の昨今だから、尚更この発表会はとても新鮮に映りました。
他の事務所との差別化を図る為にも、自由闊達な雰囲気を維持しつつもう少しメリハリをつけていかなければなと改めて考えさせられた一日でした。言うは易し行うは難し(苦笑)。

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