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改正相続法案(民法)

さる2月16日法制審議会は民法の相続分野を見直す改正要綱を法務大臣に答申しました。法案の国会での審議を経て制定される見込みです。今回は、相続法(相続税法ではありません)の改正案についてご説明いたします。

1.自筆証書遺言の見直し

これまで自筆証書遺言は、偽造を防ぐためにすべての文章と日付・署名の他、財産の一覧を記した財産目録も自筆で記載することが民法で義務付けられており、誤字があればその箇所が無効、訂正箇所は2重線で消した上、押印が必要等、要件が厳格であるがゆえ、制度自体あまり浸透していませんでした。この度ルールが緩和され、①自筆でしか認められなかった財産目録がパソコンなどで作成されたものも認められるようになり、②自筆証書遺言を全国の法務局で保管してもらえるようになります。これにより、相続人が遺言の存在を簡単に確認できるようになり、使い勝手の良いものになりそうです。

2.配偶者の居住権を保護する制度

自宅所有者の相続発生後、引続き自宅に居住し続けることを認める法定権利である配偶者居住権を配偶者が取得することで、自宅での居住を継続しながらその他の財産をより多く相続できることになります。具体的には、2,000万円の自宅と預金3,000万円で合計5,000万円の財産が残された場合で、相続人が妻と子ども1人の相続の場合、遺言書がなく法定相続分での分割となると1/2ずつの2,500万円を受け取ることになります。
自宅を妻が相続すると残りは預金500万円。これでは、老後の生活にかなりの不安が残ります。
一方、新たな権利である居住権を妻が取得すれば、必ずしも自宅の所有権を取得せずとも、自宅に住み続けられることになります。そのため、自宅の所有権を取得せずにその分だけ多くの預金を取得することが可能です。

3.夫婦間の自宅の贈与等を保護する制度

婚姻20年以上の夫婦間での自宅の贈与を遺産の先渡し(特別受益)として分割対象財産に持ち戻ししなくてもよいものとなりました。

4.預貯金債権の仮払制度

相続される預貯金については、複数相続人のうちの一人による単独での払戻しが出来ないものとされており、遺産分割協議が整わない限り被相続人の預貯金の払戻しは出来ませんでした。今回の改正により、遺産分割協議が終わる前でも、葬儀費用や生活費支払いのため、家庭裁判所の判断において仮払いが認められるようになります。

5.相続人以外の者の貢献を考慮する制度

被相続人の親族(相続人以外)が、無償で療養看護などの労務提供をして被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できることが提案されています。これまで相続人以外の者(子の配偶者など)には認められていなかった寄与分の対象者の範囲を広げるものです。

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