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新NISAと夫婦間の贈与税に関する注意点

2024年から開始された新NISAは、大きなメリットをもたらす制度改革です。この新制度は、年間の非課税投資上限額が360万円に拡大され、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となりました。さらに、非課税保有期間は無期限となり、生涯非課税限度額が1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)に設定されました。
この制度に関して、税務上の観点からお問い合わせが増えてきており、関心の高まりを感じます。そこで今回は、新NISAの考えられるリスクと注意点について解説します。

①仮名・借名取引について
夫婦それぞれが360万円の投資上限を活用することで、合計720万円の投資が可能になります。しかし、一方がもう一方の資金で双方の証券口座に投資を行う場合、これは仮名取引や借名取引と見なされる可能性があります。仮名・借名取引は、脱税やマネーロンダリングの温床となるリスクがあるため、証券会社は本人以外の名義を使用しての注文を受託してはならないと法令諸規則によって定められています。
(参考:楽天証券/SBI証券 仮名・借名取引について)。

②贈与税の適用
夫婦間で投資資金を提供する場合、その金額が年間110万円(※)を超えると贈与税の対象になる可能性があります。夫婦間の贈与でも「生活費や教育費として必要な都度直接充てられるもの以外、株式の買入資金などに充てている場合には贈与税がかかる」という旨が、国税庁のホームページに明記されています。
(参考:国税庁HP  No.4405 贈与税がかからない場合)
※110万円・・・暦年贈与 年間の基礎控除上限額

③どのように対応すればよいか
前提として、証券口座は自己の名義で開設し、投資と管理も自身で行うことが必要となります。夫婦間で資金を提供し合う場合には、贈与税がかからないように各自の非課税枠内で資金を管理し、投資を行うことが重要です。また、資金提供の際にはその用途や金額を明確にし、適切な記録を残すことが非常に大切になってきます。

④まとめ
新NISA制度は長期的な資産形成を目指すために有益な制度ですが、その利点を最大限に活用するには、税務上のリスクと注意点を適切に理解し、対応する必要があります。
ご不明点がございましたら、是非ご相談ください。

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