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Q)私は以前から日本法人に不動産を事務所として賃貸しております。急遽日本を離れて海外に移住することとなりました。気を付けることはありますか?

A)国内にある不動産を貸し付ける場合には、原則賃借人が支払家賃から源泉徴収(20.42%)をして差額をあなたに支払うこととなります。

急遽日本を離れて海外に移住する場合には、所得税法上非居住者となります。

非居住者が日本国内にある不動産を貸し付け、その対価として日本国内で賃借料を受け取る場合には、賃借人が法人、個人(事業者か否かは問いません)に関わらず、その支払いの際には20.42%の税率により計算した額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

源泉徴収の対象となる不動産の賃借料の範囲は次の通りとなります。

①国内にある不動産、不動産の上に存する権利の貸付による対価

②採石権の貸付・租鉱権の設定による対価

③船舶・航空機の貸付の対価

なお、不動産の賃借料のうち、土地、家屋等を自己又はその親族の居住のために借り受けた個人が支払う場合には、源泉徴収をする必要がありません。

ここでよくご質問を受ける事があります。

それは賃借料と同時に払う管理料の扱いについてです。管理料については、直接的には①の不動産の貸付による対価とは考えられません。

ですから源泉徴収対象外と思われがちです。

しかし、この管理料を支払わなければこの物件を借りることができません。

よって、管理費を含めて不動産の貸付により対価と考え、国内源泉徴収税の対象になります。ご注意ください。

次に、賃借人はその預かった源泉所得税(20.42%)を税務署に、支払った月の翌月10日までに収めることとなります。

なおその賃借人が国外において支払う場合であってもその賃借人が国内に住所などを有しているときは、国内源泉所得を国内で支払う者とみなして、源泉徴収することとなります。

この場合の納期は支払った月の翌月末となっています。

翌10日でないのは海外からの送金のための期限延長だと思います。

なお、非居住者が税務署に事前に「源泉徴収の免除証明書交付申請書」を提出し、「源泉徴収免除証明書」を賃借人に提示すれば源泉徴収の必要はありません。

非居住者の住民税については、毎年1月1日現在日本に住所を有している人が課税の対象者となりますので、今回の場合には住民税の納税義務はありません。

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