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制度開始から2年「相続土地国庫帰属制度」の現状

不要な土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」。2023年4月の制度開始から2年が経過しました。最新の統計をもとに、制度のポイントと現在の利用状況を解説します。

1.制度の概要
相続や遺贈で取得した不要な土地を、一定の要件を満たせば国へ引き渡すことができます。

・申請時には「審査手数料」14,000円(1筆あたり)が必要
・審査を経て承認された場合、「負担金」(原則20万円)を納付
・承認後、土地の所有権を国庫に帰属(国に引き取ってもらう)、管理責任から解放

2.創設の背景
少子高齢化や地方の過疎化により、遠方で利用予定のない「負動産」の相続が増えています。相続では不要な土地だけを放棄することはできず、やむを得ず引き継ぐケースも多く見られます。
こうした背景を踏まえ、所有者不明土地の増加を防ぐ目的で本制度が設けられました。

3.利用の条件と申請の流れ
以下のような土地は申請できません。

・土地の上に建物がある
・抵当権等の権利が付いている
・他人が使用している
・境界が不明確である
・土壌汚染がある

これらをクリアしたうえで法務局に申請します。審査を経て承認されると、正式に国庫に帰属されます。

4.審査の承認率は約93%
法務省の発表によると、2025年3月末時点での申請件数は全国で3,580件。審査が完了した案件のうち、帰属が認められた割合は約93%(帰属件数1,484件/却下・不承認109件)と非常に高い水準です。

ただし、この数値は「審査まで進んだ案件」に限られます。弊所の提携司法書士によれば「申請前に要件を満たせず、整備コストや時間の問題で断念するケースも多い」とのことです。

5.まとめ
相続土地国庫帰属制度は、お問い合わせも多く注目度の高い制度です。ただし、利用には厳格な条件と手続きが伴います。ご不明点があれば、ぜひ当事務所までご相談ください。

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