「幸せな気分になってもらえて嬉しいです」
これは毎朝のようにヒルトンの地下街で出会う清掃員の彼の言葉。彼(名前は知りません)は若く見えるけれど、40代半ばらしい。それまで挨拶くらいはしていましたが、言葉を交わすようになったのは今から3年前の秋からです。私が脊柱管狭窄症から歩行困難になり、杖を使って通勤していた時のことです。その姿を見た彼は驚いて声をかけてくれました。
「どうしたんですか?」彼はエレベーターホールへ走っていき、エレベーターのボタンを押して私を待っていてくれました。私が少し遅れて到着すると、ちょうどドアが開き「今日は素晴らしい一日になります!」それからというもの私の姿を見つけるやいなや駆け出してくれます。もちろんエレベーターのタイミングが合わない日もありますが、その時はとても悔しい顔をします。足が回復した今でも「大丈夫だから、ありがとう」と声をかけないと走り出そうとしてくれます。
「幸せな気分になってもらいたいんです」それが彼の口癖です。日々接する人たちに対して、こういった気持ちを持つことはとても難しいけれど、暑い中、外からみえたお客様のために部屋を冷やしておくとか、あとから続いてくる人のためにドアを開けておいてあげるとか、ちょっとしたことだけどそれだって「幸せな気分になってもらえる」行動ですよね。SGAのスタッフにもそういう気持ちを常に持っていてもらいたいし、皆がそうであれば地球から争いもなくなるのになあと、ふと考えてしまいます。
話は変わりますが、今月号の記事にもありますように先日歌舞伎を観に出掛けました。私自身2度目です。1度目は海老蔵さんが大怪我をした後の再起の舞台だったと思います。昨年末に映画「国宝」を観たものの、そういえばあれ以来歌舞伎を観ていないなあと思っていた矢先でした。
当日は名門・高麗屋から松本幸四郎・染五郎。名門・播磨屋からは中村歌六が出演していました。歌六さんは人間国宝で朝日新聞朝刊「語る・人生の贈りもの」に近頃連載されていました。それを読んでいたせいか、やはりひと味違うなと(笑)。一方、映画「国宝」のバイアスがかかっているのか、幸四郎さん・染五郎さんはどちらかというと血筋かなと(苦笑)。
血筋(家柄)か実力かという話は、周りを見渡せばいくらでもあるわけで、例えば政治家や企業経営者などはその最たるもの。なかには血筋も実力も兼ね備えている人もいますが、それ�はほとんど稀。大河ドラマ「豊臣兄弟」に出てくる織田信長の子の信雄・信孝兄弟みたいなパターンが一般的じゃないかな(笑)。そう考えると歌舞伎の世界は物心がつくかつかないかぐらいからは芸のイロハを仕込まれていくので唯一無二の、特別な世界かもしれませんね。私自身そういう世界に生まれてこなくてよかったとホッとしていますが、皆さんはいかがですか?

























